第3章 暴かれた○○
目をさますとクリーム色の天井が見えた。見覚えのない天井に私は心の中で首をかしげてコーヒーの匂いのする方を向いてみる。
すると本を片手にコーヒーを嗜む先生の姿が見えた。
「おや、お目覚めですね」
私の視線に気付いたのか、先生はコーヒーと本を机の上に置いてこちらに歩いてくる。
私が寝ていたベッドの近くで立ち止まるとまたあの微笑みを見せた。
「ここ…どこ…?」
「私のこの学院にある教師専用個室です」
学院では教師が働きやすい環境として教師一人一人に個室を与えている。ここで住むことも出来るし、仮眠をとったりすることもできる。
ということを呑気に思い出した私はどうして自分が気を失ったのか考えていた。
すると先生は私にお茶を差し出してくすりと笑うと椅子に座った。
「失神されたんですよ、さっきので」
「うそ、」
今までどんなに激しく腰を動かされても失神したことは愚か、イったことさえなかった私が失神した。
私はどこか悲しくなってきてポロポロと涙をこぼす。真っ白な布団の上に涙のシミができる。
どれだけ虚しい行為だったのだろうか。私が今までしてきたことはこんなにも空っぽだったのか。
「霧島さん?」
急に泣き出した私にうろたえ始めた先生は泣いている私の横に座って背中をさすってくれた。
でも、さっきまではその手が私を狂わせていた。
そう思うと先生の手が怖くなってきた。
「先生はどうして、私にこんなことをしたんですか」
どうにかして泣き止んだ私は先生に訴えるような視線を投げ付けた。
「…分かりません。でもあなたが良かったんです」
私はこの瞬間。
体は許してやっても心は許してやらないと誓った。