第2章 見つけないで○○
「めっちゃかっこよかったわね」
私は軽く余韻にふけっていた。
外国人モデルにも劣らない美青年は生まれて初めてみた。
横で摩耶子は2つ目のキャンディを舐めていた。
「玲香、ああいう顔好きそうだもんね〜」
「うん、大好き」
私は無類の美青年好きである。理由はもちろん、夜では汚いおじさんと寝るのだから顔は綺麗であれば綺麗であるほどいい。
私は机に肘をついて担任のホームルームの話を聞いていた。
50を過ぎたくらいの担任の頭は禿げ上がっていて見ていて可哀想な気分になるが、話のつまらなさの代償と思えば相応だろう。
桜も散ってきた今日この頃…から始まった話はまだ続きそうだ。
髪の毛をひとふさとると毛先を見つめて枝毛を探す。ホテルのシャンプーでは痛みがちだったが、最近マイシャンプーを持ち歩くようになってからはいつでもサラサラだ。
摩耶子が私の机の端を爪でコンコンとつつき、半分に折りたたまれたメモをそっと忍ばせてくる。
メモを開くとピンクのボールペンで『桜散ったからさみしいってあのハゲが言ってる』と書かれていた。