第4章 ありふれた日常
「お帰りなさい。
お兄ちゃんの様子は…?」
ママの呼ぶ声にも、曖昧に返事して
真っ直ぐに部屋に戻ると、思いきりベッドにダイブした
足をばたつかせて、
枕をぎゅっと抱え込む
夢みたいだけど、夢じゃない
マンガみたいな展開が現実なんだ
もう……この出会いは運命なんじゃないかって、信じてしまいそうになる
だって、有り得る?
片想いしている人が、
お兄ちゃんの友達だったなんて
イイ女になったら、なんて自分で決めてたけど
こんな風に再会したら、
もう、今しかないんじゃないかって……
今頑張らなきゃ、ダメなんだって思うよ
勢い良くベッドから起き上がり、部屋を飛び出した
「ママ!私、
これからお兄ちゃんとこ、時々行くから。
勉強教えて貰えるし」
あれだけ、お兄ちゃんの所に行くのを拒否してた私の提案に
ママが一瞬、怪訝な顔を見せたけど
"いいよね"と念押しすると笑顔で頷いた
勉強のためだっていう娘の意見を、反対するわけない
それに、
ママは安心してる
大事な跡取りのお兄ちゃんが、
妹が出入りするんじゃ、女を連れ込まないだろうなって
ズルいって、自分でも思うけど
それでもいいって、思ってる
私、
あの人に近づきたい