第1章 Look at the skies
季節のわりに薄手のジャケット
所々破れたジーンズ
明る過ぎる傷んだ金髪
だらしなく、
キョロキョロしながら歩く様は
見たくもないのに、自然と目に入る
何だって、あんな挙動不審なんだ?
怪訝に思いながらも
帰り道だからと、
後をつけるように歩いていると
ヤツはいきなり、
ゴミ置き場に向かって方向転換した
「………?」
積み重なるダンボール箱を物色し出し……
選んだ数枚をワキに挟んでる
そして、また、
目の前を歩き出した
……機嫌良さげに鼻歌まで零れてる
……何なんだ?いったい
この男の、意味不明な行動が理解出来ない
「……あ~、でもやっぱ
寒いよね……」
独り言の割にはデカい声に、ビクッとしながら……
もう、ヤツなんか無視して帰ればいいんだ…、と思い始める
さっきの無銭飲食だけでも充分だ
これ以上、面倒に巻き込まれるのは勘弁して欲しい
いつもの帰宅ルートを諦め、踵を返そうとすると
ヤツのヘラヘラした声が、勝手に耳に入って来た
「おねーさん、
ね~?今帰るとこ?
俺も一緒に連れて帰ってくんない?」
な……
有り得ねぇ
無銭飲食の後はナンパかよ?
呆れながら、無駄に過ごした時間を取り戻そうと
近くに並んだ居酒屋へ飛び込んだ