第1章 Look at the skies
今思えば……
無視さえすれば良かった全ての行動を
なぜ、俺はしてしまったのか
お前は、
運命だって笑うんだろうね
店を出てすぐ見つけた後ろ姿
何となく気になって……
(進行方向も偶然一緒だったし…)
パッと見た感じ、
俺とそう歳も変わらない気がしたけど……
派手な金髪の頭に
だらしないズボンに両手突っ込んで……
仕事なんかしてないんだろうな……ワンコインで釣りがくる牛丼も食えないなんて……
勝手に詮索しながら歩いてた俺に
いきなり、ヤツは振り返った
ヘラヘラしながら距離を縮め
思わず息を飲み、立ち止まる
「さっきは…、ありがと♪」
満面の笑顔を見せた男は、
軽すぎるノリだったけど
深々と頭を下げた
「いや……まぁ、いいけど、さ?
ああゆうの、良くないよ?」
言いにくいと思いつつ、やっぱり言っておいた方がいいだろう
真面目な顔でそう言った俺に、キョトンと黒い瞳が見開いた
「わかってるよ?」
「へ……?」
だから?とでも言いそうな眼差しに戸惑う
「だってさ?ポケットに500円玉入ってるはずだったんだよね」
「………」
そんな、笑顔向けられても……さ?
じゃあ、仕方ないよね?って事じゃないし
食い逃げなんて……有り得ないでしょ
でも、こう言うしかないじゃんか
「……そう。
そっか……あはは……」
俺のぎこちない笑いに、
相変わらずニコニコ笑って
『んじゃね』と手を振って、また背中を向けた
酷く疲れて、早く帰ろうと思ったものの
目の前にはまだ、
さっきの男がぷらぷらと歩いてた