第1章 Look at the skies
………一体、
何が起きているのか
唇に伝わる感触とぬくもり
瞳を閉じた男からは、同じ煙草の香りがした
フッと、唇が離れた瞬間
甘い吐息と共に
黒目がちな瞳が、……俺を見つめる
「~っにシてんだよっ///」
「わっ、アブナいって」
弾みで、指から落ちそうになった煙草を、ヤツが持ち直した
「だからっ///」
「キスしただけでしょ」
「しただけって!」
何事もなかったように、
また煙草を咥え、ケラケラ笑ってる
「なんで!ンなことシたんだよ!」
いきなり、なんだってんだ
オカシイだろ!
有り得ないだろ!?
「だってさぁ
気持ち良さそうだったから」
全く悪気なく、
屈託ない笑顔で、ヤツは笑う
ああ、無駄だ
コイツには何を言っても通用しない
これまでの人間関係に、人生経験
すべてがそう判断してる
クラクラ眩暈を起こしそうだ
「風呂、入ってくるわ……」
「行ってらっしゃーい」
どうにか気持ちを切り替えようと
ヤツに背中を向け、バスルームに向かった