第1章 Look at the skies
「しょーちゃん、
そんなのよく食べれたね」
「なっ、……お前!」
「じゃ、片付けるよ?」
ミネラルウォーターをがぶ飲みしてると
いそいそとテーブルを片付け、
スウェットから、
元々着ていたジーンズとジャケットに着替えていた
「コレ、ありがとね」
律儀に畳んだ服を俺に返す
「あ、あぁ……」
俺が受け取ると、
にこりと笑って礼を言い、玄関に向かった
それを抱えたまま、後を着いてく
汚れたボロボロのスニーカーに足を突っ込み、踵を踏み潰したまま、
顔を上げ、満面の笑みを見せた
「泊めてくれてありがとね。
しょーちゃん」
「……ああ」
開いたドアから、
一気に冷たい空気が押し入り……薄着の身体に寒気が走る
そのままヤツは……部屋を出てった
ホンの気まぐれ
有り得ない2日間だった
鍵を掛け、
戻ったリビングのテレビでは、
“今夜は雪が降り、
一段と冷え込む夜になりますので……”
お天気お姉さんが、
笑顔でそう伝えていた
「………」
アイツの、真冬には有り得ない格好を思い出し
画面を見たまま、無意識に思考を巡らす
……だから何なんだ
そんなの気にしなくてもいい
アイツと、これ以上関わってなんの意味があんの?
どうせ、ナンパでもして、上手くやってるに違いない……
「……っ、あぁーっもーっ!」
もしも……
もしもさ?明日のニュースで
公園で男性の凍死体発見……だとか、後味悪ぃし
“帰るとこないの、知ってんじゃん”
屈託なく笑うヤツが浮かんで……
いたたまれなくなる
そうだよ
せめて朝になるまで……
そう納得しながら、
コートを羽織り、部屋を飛び出した