第1章 Look at the skies
ガラステーブルにメモを残し、傍らにスペアキーを置いた
“鍵はメールボックスに戻すように”
だから、ドアを開けた瞬間
予想だにしなかった状況に、マジでビビった
明らかな人の気配
隙間の開いたドアからは、明かりが漏れてる
そして何より、
慌ててリビングに飛び込んだ理由は
異常を感じる、焦げ臭いニオイで充満していて、途端に咳が込み上げた
「なっ…!ゴホッ…お前っ……」
「おかえりー!しょーちゃん」
前髪を輪ゴムで纏めて
フライパン片手に、俺を迎えるヤツの姿
「ナニしてんだよっ!」
「え?
……晩ごはん、作ってんの」
……って、フライパンに乗っかってんのは
一体ナンて料理だよ!
「帰ったんじゃなかったのかよ……」
「え?帰るとこないの知ってんじゃん(笑)」
「~っ、とにかく!
勝手にこんな事されたら迷惑だから!」
「だってお礼、
なんかしなきゃって」
「そんなんいらないから!」
はぁはぁ息を荒げる俺を
濡れた黒い瞳が見つめてる
何で俺のが悪いみたいになってんの!?
どう考えたって、俺のがマトモだろ
「………だって俺、
身体くらいしかあげれるもんないし」
「だーっ、わかったよわかった!
食えばいいんだろ!食えば!」
白い皿に乗せられ、
“オムレツ”だと差し出された茶色い物体を
異常な量のケチャップで、無理矢理飲み込んだ