第1章 Look at the skies
バスルームから響く水音と
浮かび上がるシルエット
横目でチラリと見ながら、用意したスウェットを棚に置く
聞こえてくる鼻歌が、あまりに呑気で、
俺の後悔は大きくなるばかりだ
今日はさ?
久々に自分の時間を満喫出来るハズだったんじゃねぇの……
なんで、どうしてこうなった……?
リビングのソファーに座って一服してると、
背後からバスルームのドアが開く音が響いて、ヤツが風呂を出たのがわかった
煙を吐き出しながら、振り返ると
濡れた金髪の頭は、
さっきよりも数段幼く見えた
「お先。
お風呂、ありがとね」
「いーえ」
「しょーちゃんは入んないの?」
「……や、俺は後でいいや」
「アト、でいーの?」
「ああ」
ソファーに座った俺を見下ろし、
澄んだ黒い瞳に俺が映って見える
「……なに?」
そう、一言
口を開いた瞬間だ
いきなり、
俺の足元に正座したヤツは
にっこりと、笑顔を見せた
「じゃ、とりあえず
……シよっか」