黒バスshort stories ver,Christmas
第13章 薄花桜 ≪今吉翔一≫
私はとうとう口に出した。一回言葉にしてしまえば簡単だ。
「先輩が大人っぽくて、自分もって。それで背伸びしてでも失敗ばかりで…」
「そないなこと分かってるわ。自分ワシのことなめてへんか?」
「そんなことない…です。」
「なんや急に敬語になり寄って。ワシは言いたいんは自分は自分のままでいてほしい言うとんの。無邪気に笑ろうてるとことか、一生懸命にバスケに向き合ってるとことかそのありのままがワシ一番好きやねん。ガキっぽく見えるならそれはそれで大歓迎や。そう見えたときこそ、自分の魅力って物が相手に伝わったときや。」
優しく微笑む彼に感情の波が溢れ出る。涙は出なかったけど胸がいっぱいになって彼で良かったと神様に感謝した。
私の気持ちを見切ったのか私の頭をなでると、私の手を温かく握ってくれた。それに答えるようにそっと指をからませる。
小さな子供が親に抱きつくように、自分がそうしたいから。
「それでええんや。」