黒バスshort stories ver,Christmas
第11章 ゼラニウム ≪高尾和成≫
再び鏡をのぞき込み、髪に光っているピンをよく見る。
五枚の儚げな花弁。さりげない上品さがうかがえる。
「…分からない。」
「ゼラニウム。赤いゼラニウムの花言葉は、君ありて幸福。」
「君ありて、幸福…」
うんうんと後ろで頷く彼と、呆けてじっと鏡に映るピンを見つめている私。
対照的な二人、部屋で仲よく二人きり。
「高尾君、大好き。」
にこっと笑うとにっと笑い返される、笑顔の対話。それだけで言いたいことが分かってしまうような気がする。
ぎゅっと抱きしめられて高尾君は耳元で囁いた。
「お礼に紫苑ちゃんもらうわ。…なーんてな♡」
狙った獲物は逃がさず食べる。それが鷹。