黒バスshort stories ver,Christmas
第10章 ひとつ ≪日向順平≫
「日向先輩!」
声をかけると途端に先輩は笑顔になって手招きをする。少し駆け足で近寄ると彼はぎゅっと私を抱きしめた。
「今日もお疲れ様です。先輩。」
「おう。」
心がほかほかして私もぎゅっと抱きしめ返す。
「さみぃな。」
苦笑する先輩に私はある物を差し出した。それはマフラー。何か言いたそうな先輩を恐縮ながら無視していそいそと先輩の首元にマフラーを巻いていく。
思った通り、凄く似合っている。
「…ありがとな。でも、これじゃまださみぃな。」
「そうですか??」
うーんと首をかしげる私にふわっとなにかがかぶせられた。
「…これが一番だろ!…なんていうか…その、リコが、な。」
はにかみながらマフラーを巻いてくれた。二人で使う一つのマフラー。お互いの体温をマフラーを通して感じているようでくすぐったい気持になる。