黒バスshort stories ver,Christmas
第5章 一枚上手 ≪黒子テツヤ≫
呆けている彼女にばれないように僕はそっと鞄の中を探った。
こつんと手に当たった箱を取り出し手の中に隠す。
「もう、テツ君のいじわる!」
不意に顔を背けた彼女の目の前にさっと、その箱を差し出した。ピンクのリボンが掛けてある手のひらサイズの極小さなプレゼント。
「どうぞ。メリークリスマス。」
そっと言うと彼女の小さな手が恐る恐るそのプレゼントを両手で包みこんだ。先ほどよりも大きな瞳で僕を見つめるその顔がどうしようもなく可愛くて、僕はじっと見つめた。
「…開けていい?」
「勿論。」
「あ、やっぱり後で!」
「いいんですか?」
「うん、楽しみは取っておきたいから…ありがとうテツ君。」
僕の大好きなその笑顔を惜しげもなく見せてお礼を言う彼女に、もう僕は理性など保ってはいられない。
勝てそうで勝てない、そんな彼女だから僕は大好きなんだ。