黒バスshort stories ver,Christmas
第3章 Make with love ≪青峰大揮≫
「青峰君?そうだねー、特に何もいらないと思う。」
さつきの私に対する返事はそれだった。言われなくともなんとなく分かってはいた。バスケが好きな彼はバスケさえあれば何もいらないんだ、それが幸せなんだ、と。
少し、寂しい気もしたけど。
次の日、約束の時間通り私はとあるコートへと出かけた。足元はブーツ、コートにマフラーという、簡単な装い。ファッションに興味のない彼にはこれで十分だと思ったから。
目的の場所へはすぐに着いた。ふと、ボールをつく音が聞こえ、もしかしてと思って周りを見渡すと、彼は寒い中バスケをしていた。
「…大ちゃん!」
「あ?…紫苑か。」
「早いんだね。まだ5分前だよ。」
「あぁ、なんか…なー…」
はぐらかしたもの言いに首をかしげながら私は眉をしかめた。
「っていうか、大ちゃん寒くないの?!そんなに汗かいて!」
驚く私に彼は手元のボールで遊びだす。今の彼はバスケをしてたせいでうっすら汗がにじんでいた。
「寒くなっちゃうよ。風邪ひくよ?」
「風なんざひかねぇよ。心配しすぎなんだよお前は。」
そう言いながら頭をぽんぽんと叩かれる。その大きな手が私は好きで、思わず怒ろうと思っていたのに口元がゆるんでしまった。
「…何笑ってんだよ。」
「えへへ、別にー。」