<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第248章 いつまでも好き ― 三成&姫 ―
晩秋の雨が降る中、舞は少し寒さに肩を震わせ、買い物帰りの風呂敷を抱え直して急いで御殿への道を歩いていた。
「舞さま」
歩く少し前の道から呼ばれ、舞が顔をあげると恋仲の三成が傘を差して立っていた。
「遅いから迎えに来たんです。良かったです、なにごともなくて」
ほっとした表情を見せる三成に、舞も少し笑む。
「ごめんね、心配かけて。帰り道に最近知り合った町娘さんに会って、ちょっとお話しが長引いちゃった」
「そうですか、さ、早く帰りましょう」
三成は姿勢良く舞の近くへ寄ると、当たり前のように舞の手にしていた風呂敷包みを手にした。
「あ…軽いから持てるよ?」
舞が慌てて言うと三成が少し首を左右に振る。
「これくらい持たせてくださいね」
そう言ってにっこり微笑まれ、舞はその破壊的な表情に何も言えなくなる。
「…じゃあ、お願いします」
勿論です、と三成は言い、二人は御殿へ帰った。
「すぐ湯の準備をお願いします」
傘をとじて女中に預けながら、三成は湯の支度を申し付ける。
「冷えてしまいましたね」
三成は舞の手をとって心配そうに顔を覗き込む。
「そうかな」
心配する三成を気遣って舞は明るく言うが、三成はその表情を崩さない。