第137章 料理と姫　― 光秀＆姫 ―

あの小娘は本当にからかいがいがある、俺は舞のくるくるよく変わる表情を思い出し、一人笑みを浮かべる。

先日も俺が食事をしていたら、俺の食べ方に文句を言ってきた。

「光秀さん、また、そんな食べ方してる！」

俺が時間短縮とめんどくさいので、全部混ぜて食していたのを見て、舞が言う。

「別にいいだろう。俺には味がよくわからんのだから」

「ん、もう、だからっていつまでもそれだから、味がわからないんですよ」

確かにこういう会話をその時にした。

すると舞が自分で作ったという重箱を持って、俺の許へやって来た。



「はい、まず酸っぱいもの」

梅和えとやらが出てきて、これだけを食べさせられた。

「はい、辛い味」

トウガラシを使った煮物が出てきた。家康に持って行けば喜ばれるだろうに。

「はい、甘い味」

豆の甘煮が出てきたが、金平糖の代わりに御館様に献上すれば喜ばれるのではないか？

「はい、しょっぱいもの」