<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第132章 きみに夢中 ― 信玄&姫 ―
「その、信玄様が悪いんじゃないです…でも、信玄様はいつも余裕があって大人で、私ばっかり落ち着かなくて…そんなのが不公平だなって、思うんです…」
おやおや、俺はそんなに余裕があるのか、と思いながら舞が愛らしくて、俺は腰を抱いたままの舞の頭に軽く口付けする。
「舞は本当に可愛いな。俺はすっかり舞のとりこなんだがな」
俺の言葉と腰を抱いたままの姿に、舞は困った様子を見せ、俺はもうひと押しだと気付いて強行突破を図る。
「俺は本気だよ、舞。俺の前で全てを晒してしまいなさい」
そして、俺は着物の裾を割り、手をその中へ入れ、舞のももに触れ、撫でる。
その手はももの外側だけを撫で、肝心なところは触れないから、そのうちしびれをきらした舞が俺におねだりをしてくるだろうと踏んでいる。
俺は心の底からきみに夢中で、きみの全てを俺のものにし、誰にもその姿を見せたくないから腕の中に閉じ込めてしまいたいんだ。
「信玄様…」
俺のさりげなく触れる手に、からだの熱を含ませていく舞は、耐えられないといった表情を俺に見せて、俺にすがりついてきた。
「ずるい…」
ずるいのはどっちだ?
俺を夢中にさせて、でも、きみは俺に夢中にならないだろう、それはずるくないのかい?
さあ、おいで。俺はずるくても、きみの全身が蕩けるような愛を授けようか。
その愛を受けて、きみは一皮むけた、いいおんなになってくれるだろう?
<終>