<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第123章 さがしもの ― 姫&信長 ―
「一つだけだぞ」
そのまま言われて口に入れると、ほろりと甘さが口の中に広がる。
「甘い…」
私が懐かしい甘さに思わずつぶやくと、信長様はにやりとしたまま私に言う。
「秀吉には言うでないぞ。あいつに見付かるとすぐ隠される」
そういえばさっき、秀吉さんが隠したと言っていたな。
信長様は私の口元を見て、ふと、気付いたように言う。
「今、貴様、金平糖が甘いと言ったな」
「…は、はい…」
「それなら」
信長様は私の顎をすくい、そのまま私に口付ける。
口付けは深く、私の口内の甘さを信長様は堪能されるように嬲る。
信長様にそんなにされたら、私、駄目になっちゃう…
そのうち私のからだのちからが抜けそうになり、足がカクンとなる。
信長様は私を支え、横抱きにして台所を出る。
「貴様にくれてやった金平糖も甘かった。貴様自身はどれだけ甘いか俺に味わわせろ」
もう、そうなっちゃうんだ、信長様には適わない。
私は横抱きにされたまま、うんと味わってくださいね、とこの後訪れる二人の甘い時を思い起こし、信長様の首に腕を回し、もう一度口付けをおねだりした。
<終>