<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第123章 さがしもの ― 姫&信長 ―
「信長様、何、しているんですか?」
珍しく、城の廊下をすたすたと、一人で歩かれる信長様を見付けた。
私の声に一瞬立ち止まるような素振りを見せたものの、そのまま歩き去っていく。
何だろう、気になるな。
そっと信長様の後をついていき、台所へ入っていくのを見掛けた。
「?小腹でもすいたのかな?」
そう思いながらそっと私は台所を覗くと、信長様はあれこれ移動しながら棚をひとつひとつ覗き、何かを探しているようだった。
「貴様、そこに隠れているのはわかっている。いるなら出てきて手伝え」
わ、気が付かれていた。
私は恐る恐る台所へ足を踏み入れ、信長様に話し掛ける。
「あの…何をされているのですか…?」
「いいから手伝え、秀吉が隠したものを探しているのだ」
「秀吉さんが隠したもの?」
私が首を傾げるのに気がつかれたか、信長様がこちらを振り向きながら言う。
「さっさとあっちの棚を下から探せ。小さい瓶を探している」
「は、はい…小さい、瓶、ですね…」