<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第98章 星に気持ちを乗せる ― 佐助&姫 ―
え?どうして俺の考えている事がわかったのだろう、と俺は舞さんを見た。
俺の表情に、自分の疑問は正解だったと理解した舞さんは笑顔で言う。
「わかるよ、佐助くん、時々信玄様のセリフ真似しようとして失敗してるもん」
「信玄様のセリフ、真似しようとしているの、わかる?」
俺は内心どきりとして聞いた。
「うん、ものすごく真似しようとして、失敗してる。
でもそれって佐助くんらしくて私は好きだよ」
「俺らしくて好き…」
そこだけ、俺の耳に強調して流れてきた。
ああ、どうしようもないくらい、俺は舞さんに惚れていると、自覚する。
「佐助くん」
舞さんが俺の両頬を両手で挟み、顔を舞さんの方向へ向かせる。
「佐助くんは佐助くんらしくいて。私はそんな佐助くんが、好き」
「舞さん…」
満面の笑顔の後ろで星が流れる。
俺の気持ちを、星が舞さんに届けてくれたのだろうか。
「舞さん、愛してる」
俺は舞さんの両手を頬から離し、反対に俺が舞さんの頬に両手を当て、そっと、こちらに流れてくる星と共に、口付けを降らせた。
<終>