<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第96章 優しく、甘い ― 姫&元就 ―
そんな事言われなくても、私はもう、元就さんの事が好き、なのに…
「ああ…ったく!」
私の顔を見て、元就さんの全く、と言った体の言葉が投げつけられたと思った途端、抱き締められ口付けが降ってきた。
角度を変えて何度も口付けをしてくる元就さんに、私のからだの力が抜けていく。
「ちょっと…待って…」
私はようように言うけれど、元就さんには止める気配は、ないみたい。
「待たない」
そう言って、私の着物の袷に手を差し込み、からだに直接触れる。
元就さんは優しく私を撫でる。
その手の動きに私のからだの熱があがり、耐えられない快感が押し寄せる。
「元就…さんっ…」
私のやっとあげた声に元就さんはにやりとして、私をそっと横たえ、更にからだに触れる。
「どうして…そんなに、優しく…触れるの?」
「愛しているからに決まっているからだろう?」
元就さんの愛は、一見乱暴に見えて実はとても甘くて優しい。
その優しさに私は蕩けて、元就さんを包みこみうねる荒波のようにからだをしならせた。
『元就さん、ずるい…』と私の心が叫んだ。
<終>