第13章 リーサル・ウェポン
「幸村様、中にいらっしゃいますか?」
襖の外から女中に呼ばれ、
我に返った二人は直ぐ様パッと離れ姿勢を正す。
どうやら夕餉の時間らしく、既に他の皆は広間に集まっているというのだ。
「今行く」と返事をすると女中は承知して去っていき、その足音が遠ざかると共に己の欲望も鳴りを潜めた。
…………………………
静寂に包まれた室内…………
「こ……今晩のおかずは何だろね?楽しみだなー」
頬を上気させ気まずそうに話題を振り、桜子は腰を上げ襖へ歩いていく。
ーーーそう
こいつを物に例えるとしたら、まるで凶器だ。
絶大な殺傷能力で、今日もこうして俺の理性を殺そうとする
「おい」
「ん?どしたの、早く行こうよ幸」
「俺そのうち……限界来るかも」
「………え………?」
意味が分かってないのか、首を傾げる桜子。
まったく……人の気も知らないで。
その愛らしく柔らかな凶器に
いつかトドメを刺されてみたいーーー
と、
心の奥底で願っている………なんてのは
ここだけの、話。
完