第3章 不思議なヤツ
それを驚いたようにみている優仁に何となく照れくさくなり誤魔化すように視線を逸らして席を立つ。
「出しに行くなら一緒に行こうぜ?」
「う、うん」
そして二人で出した入部届け。
入部届けを担任に出した後、廊下を歩きながらチラッと隣を見て改めて思う。
体力測定で教師達を驚かせた優仁が何処に入部するのかかなり注目されていたのは事実だ。
特にバスケットは経験者らしい事を聞いて、そこに入るものだとばかり思っていた。
「バスケ部じゃなくて良かったのか?」
「え?」
「経験者なんだろ?」
「・・・・・バスケはもういいんだ」
「なんで?」
何気ない質問をしたつもりだった。
だけど、それを聞くと優仁はどこか悲しそうな顔で『もう経験したからいいんだ』とよくわからない返答をされた。
その意味が理解できなくて、もっとちゃっと分かるように聞きたいと思ったけど、そんな顔を見ればそれ以上聞けなかった。
同じクラスで同じ部活、優仁と一番仲良くなるのに時間はかからなかった。
何をしていても優仁とすると楽しく感じた。
感覚が似てる、好みも似てる、だからお互いの事がよく分かる気がしたし、それは間違いではないと思う。
授業中、真剣な顔をして書き込んでいる優仁を後ろから見て何かを書いてるのか見てみればそこにはビックリする程、上手なドラ●●ボー●の悟空のイラスト。
「スゲー!」
「ん?どうした大野!?」
「エッ!?あ、いえ・・・なんでもないです」
クラス中に笑われながら慌ててそう担任に返せばゆっくりと振り返った優仁が不思議そうな顔をしていた。
授業が終わりすぐに優仁にノートを見せてもらう。
「ヤバッ・・・スゲー!!本物みてー!!」
「あ、ありがとう」
「うわぁ・・俺も描きたい!描き方教えてくれ!」
「クスクス、いいよ」
そう言って優仁はサラサラと大好きな漫画の絵をまるで写し絵のように描いていく。
それが物凄く羨ましかった。
出来ない事なんて、優仁には何もない気がする。