第4章 止まらない涙
O視点
優仁は時々、見てるこっちが心配になるような悲しそうな顔をする時がある。
それが何故なのか気になって仕方がない。
だけど、それを何となく確認してはいけない気がしてずっとそのままになっている。
何か悩みがあるなら力なりたいと本気で思える。
あれだけ全てが備わった完璧な人間が何を思い悩む事があるのか自分にはまったく理解出来ない。
一般的な家庭の庭とは思えないだだっ広い庭で、わざわざ工事して付けたと言う本格的なネットを挟んでバトミントンをしながら思う。
こうしている時はあの顔が嘘のように楽しそうなのにと。
「よっしゃー!!」
「アーッくそっ!」
本の一瞬気を抜いた隙に自分側のコートに落ちるシャトルに思わず声を上げる。
真っ白で綺麗に揃った歯を見せて笑うその顔は本当に整っていると思う。
小柄で細身のくせして意外に力強く打ち込んでくる。
瞬発力も持久力もあるから相手にすると本当にたちが悪い。
「これで50戦20勝20負10引き分け!!」
「あああ今の絶対に拾えてたのにッ」
「ふっふっふ」
ポイッと投げて渡された真っ白なタオルはフワフワして触り心地がよい。
それで汗を引きながらベンチに座る。
「あ、もうこんな時間か」
「ゲッ本当だ、優仁の家庭に照明あるから時間感覚無くなるんだよな」
「クスクス」
「・・・・クソッ」
「智君はやっぱり負けず嫌いだね」
「うせっ」
罰が悪くて視線を逸らす。
隣から聞こえてくる小さく笑う優仁の声に本当はホッとしている自分がいた。
ずっとあんな顔しない笑っていたらいいのにと思う。
「もう1回やろうぜ!?」
「ええ!?けど、時間」
「あー・・・じーちゃん!!電話貸して!!家に電話したい!」
「おお、好きなだけ使え!」
丁度様子を見に来たらしい優仁のじーちゃんにそう言えばニカッと笑ってそう言ってくれた。
優仁の祖父母は本当に良い人達だ。
他人の自分まで孫のよう接してくれる。
勝手知ったるなんとやら?もう何度もココで同じような事をしている為に慣れたものだ。
リビングにあった子機を取り覚えている番号をプッシュした。