第9章 二宮さんとの休日
-大野side-
「ふふっ」
おいら今、
服のなかに隠していた
絵本を眺めてる。
読んだことない本だけど
表紙の女の子が
雛ちゃんにそっくりで
見せてあげたかったから。
絵本を置いて
服を脱ぎながら
さっきまでのことを
思い出す。
池まできたおいらは
猫が水を飲むのを
眺めていると
池のなかに
なにかがあるのが見えた。
それは
絵本だった。
そのとき、誰かに
似てるなって思った。
「んー」
とれそうで
取れない絵本
もうちょっと、
もうちょっと、って
気づかないうちに
けっこう体が池に落ちそうに
なってて、
そのまま
ドボン
て落ちちゃったのね(笑)
絵本を手にとって見ると
すっごい雛ちゃんに
似てるの。
濡れてるから
早く持ってかえって
乾かそうなんて
思って走って家に帰った。
で、今にいたるんだよね。
雛ちゃんには
お風呂入ったあとに
見せてあげるの。