第4章 奪い合い
「付き人やるんでしょ?
だからタメ口!」
もう一回言うんだけど
『む、無理ですよ!!!!』
またまた渋ります。
この子を動かすのには
労力がいりそう。
するとまたまた相葉さん。
「雛ちゃんさ、
俺たちと暮らさない?」
すごい大胆な発言ねあなた。
『え……』
彼女、完全にキャパオーバーで
固まっちゃったよ?(笑)
「おーい、」
翔さんが
目の前に掌をパタパタさせて
生きてますかー?
って言ってる(笑)
まだ固まった
雛ちゃんを
揺すっていると
ピンポーン
チャイムが鳴った。
その音で我に帰った
雛ちゃんは
そのまま玄関の方へ。
大丈夫かなー?
なんて
くすくすしてたら、
大きな声で
大家さんらしい人が
「ごめんねぇ?
このアパートボロボロだから
危険だからって
改築を勧められたんだけど
そんなお金なくってね、
取り壊すことになったの、」
こんな話が聞こえてきた。
『あ、はい、分かりました。
大丈夫です。
今までありがとうございます。』
少し暗くなった雛ちゃんの声。
早く行って抱きしめて
あげたかったけど、
玄関から
トコトコ帰ってくる
雛ちゃんを
すぐに抱きしめたのは
Jだった。
雛ちゃんは
Jの胸で、
ひとしきり泣いた。
そうだよね。
強がってたけど
ずっと不安だったに決まってる
就職もできない不安。
初めてのことへの不安。
初めての人たちへの不安。
その上家、なくなっちゃうんだから、