第12章 私立リアリン学園!~ノア~ 情熱編
服の汚れを払いながら、腕時計を見る。
もうすぐ昼休みが終わる。
「5時間目、出るよね?」
「………普通、先生にそう言われたら、断れるわけがないんだけどー」
髪についた葉っぱをフルフルと首を振って落としながら、相変わらずのんびりしているノア。
「急ごう。ほら、学校まで競争!」
私は、腕を上下に振って、走り出す体勢を見せる。
「マイン先生、慌てないで」
ノアは、すぐ後ろの木の陰から、自転車を押してきた。
優しいブラウンカラーが、ノアっぽい。
長く乗っているようで年数を感じるけれど、よく手入れされているみたい。
「乗ってー」
「自転車だったんだ」
「うん。ここまで歩くのめんどーだったから」
私は、ノアの広い背中につかまる。
「出発~」
呑気な口調で。
ノアがペダルを漕ぎ、自転車は走り出す。
だけど………。
草むらのせいか、二人乗りのせいか、なかなか進まない。
やっぱり、走った方が早いかも?
「マイン先生、もうちょっと、しっかりつかまって」
「こう?」
私は、腕に力を入れて、ノアの背中に身体を密着させる。
「うん、そう。マイン先生の胸、柔らかくてあったかい」
「………っ、だから、しっかりつかまってって言った?」
「正解~」
楽しそうに声を上げて笑う、ノア。
そんなノアに、私も嬉しくなって、一緒に笑う。
ノアの背中から伝わってくる鼓動が、私の鼓動と重なってる。
笑い声に呼応するかのように、昼休みの終わりを告げるチャイムが、風に乗って聞こえてきた―――。