第23章 猫と一松
<一松side>
好きと言ってしまった自分に耐えられなくなって、ヒナをクッションへ降ろした。
クソッ……なんで人間はこんな言葉を作ったんだ!
そもそもなんで俺は人間なんだ!
ああ、俺も猫になりたい……
でも、猫同士だとヒナの顔とか笑顔とか身体とか、見れないし触れないのか……それは嫌かも……
そんなことを考えてたら、猫のヒナに飛びかかられ、そのまま倒れこんだ。
ザリッと猫の舌の感触が頬に当たる。
急に乗っかってるヒナが重くなった。
「……これでおあいこだよ?」
俺の上に乗ったまま、ヒナは元の姿に戻った。
そして人間に戻って、もう一度頬を舐められる。
「……俺、泣いてないよ」
「嘘つき。
好きだよ、一松……」
そう言って俺にキスをするヒナ。
「……もう死んでもいいわ」
「えっ?!死ぬの!?」
「あ、でも、お前も一緒にね?」
「何それ……やだよ」
クスクスと嬉しそうに笑うヒナ。
それよりさ……この体勢、ヤバいんだけど?
また俺、試されてる?
俺にまたがり見下ろすヒナ、絶景過ぎ。
「……ねぇ、クズって蔑んでもいいですよ」
「それ言って欲しいだけでしょ!?
ほんとクズ!」
ダメだ、こいつが言うと可愛くしか聞こえないわ。
でもニヤニヤしてしまう。
「なんか元に戻ったら、お腹空いてきた……」
「ヒナー!おにぎり作って貰ったよー!」
ここぞと言うタイミングで入ってくる十四松。
お前……絶対、覗いてただろ?
そう思ったら、後ろには他の兄弟たちもいた。
……目がヤバい。
こ、殺される。
「十四松?……いつから見てたの?」
「蔑んでって、一松兄さんがヒナにムラムラしてるときから!」
よし、自ら死のう。
そばにいてよ
出来るだけ頑張るからさ