第19章 猫とチョロ松
<ヒナside>
みんなに正体がバレてしまってから……
チョロ松くんは私を避けるようになった。
家になかなか帰ってこない。
猫のときは部屋に入ると出て行ってしまう。
近寄ると目をそらすし、逃げる……
人間になって、外で声をかけてみた。
用事があるとそそくさといなくなってしまった。
明らかに嫌がられている。
やっぱり無理があったんだ……
今までと同じように接してくれるわけなんてないんだ。
「私って、ここにいてもいいのかな?」
私は屋根の上でカラ松のギターを聴いていた。
松野家の屋根上はお気に入りの場所の一つになっていた。
「ホワッツ?なぜ、いまさらそんなことを聞くんだ?
いいに決まってるだろ?アーハン?」
「チョロ松くん、私のこと嫌いかも……」
「ウェイト!そんなわけないだろ!?
ブラザーはライジングでシャイニングでシコスキーだからな。
レディは気にしすぎだぞ!」
「……カラ松の言ってること痛いし、全然、意味わかんない」
「レ、レディ?俺にコールドだぞ!?」
「だって……」
「ノンノンノンッ!泣くなっレディ!
俺がいじめてるみたいじゃないか!?
そ、そうだっ!ブラザーが喜ぶことをしてやったらどうだ?」
喜ぶこと……
「わかった!」
「レディ!屋根で立つなと何回言えばっ!
……あ"ーっ!!」
屋根で立ち上がった私を支えようとして、落ちるカラ松。
よしっ!なんとかしてみる!