第15章 苦労の三男
<チョロ松side>
ヒナちゃんはよっぽど面白かったのか、まだクスクス笑っていた。
か、可愛い……
少し寒くなってきた風が僕たち二人の間を通り抜ける。
寒さを感じたのか、自分の腕を触るヒナちゃん。
僕は慌てて着ていたシャツを脱ぎ、ヒナちゃんの肩にかけた。
「ありがとう、チョロ松くん」
僕のシャツを落ちないようにきゅっと持つヒナちゃん。
……ヤバい、キュンキュンくる……
兄弟達が躍起になっていることがよくわかった。
だって可愛いし、笑顔も素敵だし、何より僕達にこんなに心を開いてくれている子は初めてだ。
しばらく歩くと、ふとヒナちゃんに違和感を感じ、横顔を見る。
「み、耳……」
「えっ?」
「みみみ耳ついてるっ!!!」
ヒナちゃんの頭に猫耳がついていた。
ピョコンとまるで本物のように動く白い猫耳。
「え?!あ、あのっこれはっ……えとっ!」
「そっそれっ、何それ!
超絶可愛いんだけどぉっ!?」
「え、えとっ、今日買ったんだけど!
つけてなかったから、つけたかったって言うかっ!」
慌てて両手で猫耳を抑え、みるみるうちに真っ赤になるヒナちゃん。
僕のかけたシャツが落ちたが、そんなことはどーでもよかった。
「かっ可愛いっ可愛いすぎっ!
ハァーン!超絶可愛いよ!ヒナちゃん!」
僕の妄想はにゃーちゃんとヒナちゃんがデュエットデビューするまで行き着いていた。
「こ、ここら辺で、もう大丈夫だからっ!
チョロ松くん、送ってくれてありがとう!」
「あっ!待って!
写真撮らせて!お願いしますっ!」
「ええっ!?無理っ!
ごめんね!チョロ松くん!」
脱兎のごとくヒナちゃんは走っていった。
な、何だったんだぁぁああっ!
あーん!今日は眠れそうになぁーい!!!