第44章 夢に囚われて
「そうだな……
まぁこの格好がお気に召さないなら戻ってあげるよ
誰……ねぇ……?夢魔みたいなもんさ」
夢魔と名乗った者は姿を変え、今度はイヤミのように見えてくる。
いや、そう見せているだけ?
六つ子たちは更に不快感を募らせ、吐き気すら感じ始めた。
*「ヒナちゃんに何したんだ!?」
「へぇ……末っ子ザンスね?
チミ、悪くないザンス」
なぜかトド松を気にいったようでニヤリと嬉しそうに笑った。
「レディはどこかにいるのか?!」
「ヒナどこかにいるの?!返してっ!」
「次男と五男か?もっと考えて動いてチョ?
力ばかりじゃ助けられるものも助けられないザンスよ?」
カラ松と十四松を見て、ため息をついた夢魔。
トド松と何が違ったのだろう?二人に対しては視界にも入れたくなさそうだ。
こいつの話したところで……
ヒナは帰ってくるのだろうか?
わからない…わけのわからない状況だが、この部屋の支配者は明らかにこいつだ。
六つ子たちはそう感じ取っていた。
「これは夢?覚めたら帰れる?」
点数を稼ぎたいトド松は機嫌を損ねないように夢魔に問いだす。
「んー…帰れるザンスよ?
ただ、チミたちのお姫様はお迎えに行ってもらうザンス」
指を鳴らした夢魔
ベッドの向かいに六つの扉が現れた。
「一人…ずつ……?」
一気に不安げな顔になるトド松。
「もちろん!それぞれ必ず会えるようになってるザンスよ?
ミーはサービス旺盛ザンス!」
*「……連れて帰れんの?」
「王子様になれれば♪」
「は?はぁあっ?!」
王子様?
聞いた一松は力を吸われたようにしゃがみこんだ。
「……では、最後は扉を選べ」
目の前にいた夢魔
天蓋ベッドに座っていたはず…
しかし、見ていたはずなのに、目の前にいたはずなのに、夢魔はいつの間にか消えていた。