第36章 風邪を引いた猫
<カラ松side>
おそ松に抱き上げられてきたヒナ。
さっきより顔が赤くなってる。
おそ松が布団にそっと下ろすと困った顔をしながら、素直に横になるヒナ。
「ありがとう……」
「あ、ああ……」
赤くなってされるがままのヒナ。
目を潤ませて俺達を見ている姿におそ松もチョロ松も俺もピタリと固まった。
……か、可愛い……
弱ってるヒナに興奮した。
まるで全身から誘惑されてる気分になる……リ、リトルデビル。
い、いかん!いかん!
俺は頭を振ってヒナに布団をかける。
おそ松もチョロ松も理性と戦っているようで、大きくため息をついた。
「……医者呼ぶ?」
「そうだな」
「ヒナちゃん、おでこにタオルのせるね?」
「ん……ありがと、チョロく……
くしゅ!」
「あっ!」
「ん?」
「……えっ?」
「っ!?
……ヒナちゃんっ……!?」
ヒナがくしゃみをした途端、頭から白い耳がピョコンと飛び出す。
「っぶはっ!ヒナ、猫耳でたぞ?」
「レ、レディ?!
……ブァッ!チョロ松っ!?」
チョロ松が持っていた水の入った桶を俺の頭にひっくり返す。
……悲惨だ。
「ぇっやだっ!……っくしゅ!
……ぅにゃっ!?」
驚いて自分の口を押さえるヒナ。
うにゃって言った!
うにゃ?!
キュート過ぎて俺の頭の中でうにゃがリピートする。
「……ヒナちゃん!
はぁんっ♪超絶可愛いーっ!!!!
ヒナちゃーん!!!!」
「おっ、おいっ!
チョロ松待てっ!早まるなっ!」
目がハートになってヒナに飛びかかりそうになっているチョロ松を、慌てて俺とおそ松は押さえつけた。
「死んどけ!」
おそ松の見事なヘッドロックがチョロ松に入る。
「にゃに……やだ治んにゃい……」
頭を押さえて、恥ずかしそうに布団に顔隠すヒナ。
ス、スペシャルキュート。
しかし、それどころではない。
「医者は無理だな」
「だな……とりあえずこいつなんとかしないと」
俺とおそ松は気絶したチョロ松を引きずり、下の階に降りた。