第35章 紙一重の二人 逆ハー
<ヒナside>
「カラ松大丈夫?!」
「あ、ああ。それより十四松が……」
私はハッと後ろを見る。
十四松は走っていってしまう。
私は慌てて後を追いかけた。
バッティングセンターを出て、急いで追いかける。
雨の中、十四松を見失うわけにはいかない。
「十四松っ!待ってっ!」
私は必死に追いかけた。
十四松は雨で誰もいない野球のグランドへ入っていった。
「ヒナ……なんで追いかけてくるの?
カラ松兄さんのところにいなよ」
「どうして?」
「だって、カラ松兄さんのことが好きなんでしょ!」
「うん……好きだよ。
でも……私ね、十四松のことも同じくらい大好きだよ」
「え?」
「だからね、二人にキスされて嬉しかったの……
おかしいでしょ……ほんと……」
それでも、この気持ちに偽りはない。
二人が好きで好きでどうしようもないなんておかしいよ。
「……それでもいいって言ったら?」
後ろからカラ松に抱きしめられる。
雨の中、熱い肌に触れて安心してしまう。
私って……ダメだなぁ……
「それとも十四松、ヒナは俺が貰ってもいいのか?」
「やだ!」
「じゃあ、逃げるな。
本気で向かってこい」
「……うん、ごめんなさい。
ヒナ、大好きだよ」
そして、私は十四松にも抱きしめられた。
雨の中、十四松の暖かさにも包まれ、私は胸がきゅっとなった。
好きだよ……私も大好き。
「みんな濡れちゃったね?」
「そうだな……このままでは風邪をひくぞ!
よしっ!早く脱げる場所に行こう!
そーだっ!運動の続きだっ!」
急に早口になるカラ松。
ん?何?
「やったぁ!セクロス!」
「だからそのセクロスって何……」
「フーン♪行くぞっ十四松っ!
レディにパーフェクトスポーツを披露しよう!」
「頑張りマッスルー!
ヒナっいっぱいしようね?」
ヒョイッと十四松に抱き上げられる。
二人の笑顔に完敗な私。
私は返事のかわりにギュッと十四松しがみついたのだった。