第30章 猫とハタ坊 前編
<チョロ松side>
再び僕らは先へと進んだ。
最初に入った通りとは違い、広い廊下を三人で進む。
みんな大丈夫かな?
とにかくハタ坊を見つけないと……
ガッタンッ!!!
何か物凄く嫌な音がした。今度は前からだ。
ゴロゴロゴロゴロ……
目の前には廊下いっぱいの幅がある
鉄球が転がってくる。
はぁぁぁ?!なんだよっ!!!
ここハタ坊ん家だよね?!
ダンジョンじゃないよね?!
「チョロ松!走れっ!」
僕らは必死に走った。
なんだよ!マジでぇええっ!ケツ毛燃えるわ!
アタッシュケースぶん投げたい!捨てたい!
夢中で走って気付けば行き止まり。
「チョロ松兄さん!」
ドンッ!と押されて僕は横道に転がった。
おそ松兄さんも一緒だ。
振り向いたら鉄球は真っ直ぐ転がっていった。
一松の姿はない。
「あー……一松落ちたか?」
「わ、わかんない…・・・」
ゼェゼェと息を切らしながら、身体を引きずるようにおそ松兄さんと先へ進む。
もう金とかどーでもいい。
早くヒナちゃんに会いたい。
また階段を見つけた。
僕らは上へ登り続ける。
「ちょっとチョロちゃん……も、もっかいタイム……」
身体がぐったり重い。
二人で階段に座り込む。
「みんな大丈夫かな……」
「まぁ、死にはしないだろ?
つか、侵入者用にしてもハタ坊が気づいてないのがおかしくね?」
「え?」
「どっかに監視カメラくらいはあるだろ?
助けこないのもおかしいし……
あいつ、何考えてるかわかんねーとこあるからなぁ……」
確かに……僕らがそっちに向かってるのくらいはハタ坊が気づいてもおかしくはない。
ハタ坊はヒナちゃんを本気で貰う気でいるのだろうか?
「さてとっ!行くか!」
おそ松兄さんが立ち上がろうと壁に手をかけたとき、
「……ぅわっ!」
壁が開きおそ松兄さんはグラリと倒れ、落ちていった。
「おそ松兄さんっ!!!」
とうとう僕らはバラバラになってしまった。