第30章 猫とハタ坊 前編
<トド松side>
「ニート達ー、手紙と荷物が来てるわよー」
下の階から母が六つ子を呼ぶ。
「手紙?誰だろ?」
「荷物というか、これはアタッシュケースじゃないのか?」
「……十四松」
「あー……ハタ坊の匂いだよ!」
「よーしよしよしっ」
「わぅんっ!」
犬の格好に変わって手紙とケースの匂いをかいで、一松兄さんに褒められてる十四松兄さん。
それ犬にならなくてもよくない?
「んー……だめだ!全然、読めないよ!」
毎度のこと解読不明な手紙のハタ坊。
いい加減いい大人なんだから、字なんとかならないかなぁ。
「お、おい……こ、これ……」
手紙を見ているとおそ松兄さんがアタッシュケースを開けていた。
「「うおおおおおぉ!!!?」」
全松、狂喜の雄叫びをあげる。
そこにはぎっしり詰まった札束が入っていた。
「何これ?!何これ?!
ハタ坊からのプレゼント?!
おいっ!これで早くお馬行こうぜ!」
「いや、まだプレゼントだとか決まってないから」
「しかしこれだけあればエンジョイライフを過ごせるな!」
「餌買い放題……」
「僕も欲しかったものあるんだ♪
ちゃんと分けようよ!」
しっかり念押しておかないと争奪戦始まっちゃうからね?
ほんと兄さんたちってクズだから!
「まって!!!」
突然、元の姿に戻った十四松兄さんが大きな声を出す。
手には手紙。
「どうした?十四松」
「これ……猫貰いましたって書いてある」
「「はぁっ!!!???」」
再び全松が叫ぶ。
「おいっ!?一松!ヒナは?!」
「あ、朝、散歩行くって……」
「「……」」
ヒナちゃーん!!!