第29章 寒い日は誰と 逆ハー
寒くなってきた今日この頃。
晩御飯はお鍋だ。
松代お母さんとたくさんの具材を切った。
お鍋のサイズもすごい。
「できたよー!」
「鍋♪鍋♪」
「レディ、熱いのが飛ぶといけないっ!
俺から離れているんだっ」
ひょいっとカラ松が大きな鍋を食卓へ運んだ。
さすが男の人だ。
「はぁーやだやだ。
出来る男みたいなドヤ顔してんなよ!」
「そ、そんな顔してないぞ!」
「……いーや、してたね」
「おそ松くんも頼んだら運んでくれるもんねっ?」
「うんっ運んじゃうっ!
って、ズルいわ…・・・最近、俺の扱い上手くなってね?」
「ヒナちゃんがうちで今、一番あざといかもよ?
僕の出番ないじゃーん」
「ふふっ、はい、ご飯」
順番にご飯を渡していく。
「はいっ、ヒナちゃん」
私のご飯はチョロ松くんが渡してくれる。
「ありがと、チョロくん」
「お鍋の中身何でも食べられる?」
「うん!何でも大丈夫」
「そっか♪熱いから気をつけてね?」
「うん、ありがと♪」
みんなで手を合わせて、
「「いただきまーす!」」
食べ始めるとみんなの食欲にいつも圧倒される。
たっぷりの鍋が気持ちいいくらいに減っていく。
「鍋、うんまー!」
「鳥団子が旨いっ♪」
「しみうま♪」
「……ヒナ」
さっと私の器に椎茸を入れる一松。
食べたくないんだね……
「レディ」
お肉を私の器に入れるカラ松。
うん、これは食べて欲しいからだね。
「ヒナは肉もっと増やしていいぞぉ、むっちりでも俺はいけるからっ触り心地的に!」
「それギリセクハラだから!」
「ここはやっぱりヘルシーな豆腐でしょ!」
「ヒナもいっぱい食べてねー?」
ダバダバとオタマで私の器に追加する十四松。
「ありがと、十四松♪」
嫌いなものはないけど、猫舌なんだよね……みんなのスピードについていけない。
「ヒナちゃん鳥団子冷ましておいたから!
はいっあーん♪」
「ぼ、僕も豆腐冷ましたよ!あーん♪」
「お前ら!雛の餌やりか!」
「ありがと!二人ともっ」
今日も賑やかな食卓にお腹も心も温かい。