【イケメン戦国】Love is not needed.
第3章 その2
「貴様はもういい。三成、ななしを連れていけ」
「はっ」
その後、ななしは三成に連れられ部屋へと案内された。
「こちらがななし様のお部屋ですよ。」
「わー、思ってたより広い。」
もっと牢屋みたいな部屋に案内されると思ってた、と笑いながら、屋の中でくるくる回り始める。
「急だったのでまだ簡素ではありますが、明日には手配した道具や小物が届くはずです。ななし様のお好きに使ってくださいね。」
三成は天使のような微笑みを浮かべる。
ななしも負けじと愛らしい笑顔を作る。
「ありがとう、三成さん」
「とんでもございません。...それから、ななし様、私のことはどうか、三成とお呼びください。」
三成のいきなりの申し出に、虚をつかれ思わず笑顔が消えたななし。
「え、なんで?」
「そう呼ばれる方が慣れており、落ち着くのです。」
「あぁ、なるほどね。
...でも、いきなり呼び捨てはなぁ...。」
天井を見上げしばらく考え込んだあと、
そうだ、と、三成へ向き直る。
「あだ名、つけてあげようか」
「...あだ名?それはなんでしょう?」
こてん、と首をかしげる三成。
小動物のようにかわいらしいのに、どこか色っぽい。
そんな彼の仕草に一瞬だけ見惚れるななし。
しかしすぐに頭のなかを振り払って、気をとりなおす。
「あだ名っていうのはね、その人の名前を文字ったり、その人の特徴をとらえた本名とは別の呼び名のことだよ。親しみを込めて使われることが多いかな。」
「へぇ、ななし様がいらした遠い遠い故郷には、そんな風習があるのですか。」
三成は、信長に出身を聞かれた時にななしが適当に答えた、答えになってない答えを素直に聞き入れてるようだ。
こんな素直な人が武将なんてやってるんだ。
と、余計なお世話を焼きながら彼女は心のなかで苦笑した。