第5章 「すれ違い」
誰が、そう伝えたのだ?
今も警察は、探しているみたいだ。
だけど……彼女はけして見つからない……。
だって、彼女の死体は……。
この谷底にあるのだから……。
「闇璃…。」
そう呟いた時……。
ブシュッ!
俺の背中から胸へと痛みが走った……。
息ができなかった。
俺の身体が、谷底へと傾いた。
この時悟った……。
……俺は、このまま死ぬと……。
俺は、振り向いて驚いた。
死んだはずの彼女がいたから……。
彼女の口が動いていた。
そして……。
『知ってますか?瀞哉さん?物語の続きは、ですね…。』
紫の文字が、宙に浮いていた。
そこで、俺の意識が完全に消えた。
そう、俺は死んだのだ。
だけど……何故彼女が……いたんだ……?
もう……どうでもいいや……。
~拓弥~
瀞哉が行方不明になって、また一週間が経った。
闇璃が居なくなってから、元気がなかった。
今、俺は森の中で歩いていた。
真実を確かめたかった。
最後、瀞哉を見かけた人によると……森に行ったみたいだ。
谷底が見えてきた。
こんなところに……谷底があったんだ……。
不思議と思った。
まさか……瀞哉……自殺でもしたのか?
いや、ありえないだろう。
俺は、谷底に近づいた。
俺は、驚いた。
谷底の近くに、血の跡が残っていた。
それも、大量に……。
……殺されたのか?
誰に?
死神……闇璃に?
だが、そんなの不可能のはずだ。
だって、闇璃は……瀞哉の前に行方不明になったからだ。
どういう事だ……?
わからない……どうして……。
「ん?」
パキッ……。
何かが割れる音が聞こえた。
「…ブレスレット?」
それも、血だらけの物だった。
そして、隣には本があった。
拾って気になって、開いてみた。
そこには……。
『失敗してしまった…。仕方ないか今回が、初めてだものな…。送るタイミングがズレたみたいだ。まぁ…助からないと思うが…。おい、拾った奴に言う。後悔してるなら、尚更言っておく…。今までの出来事をこの本に、記せ!…わかったな…。』
そう最初の、ページに書いてあった。
今までの出来事を書け?