第8章 それぞれの片想い
数分後、公園のベンチに座る彼女を見つけた
『いた!!』
私の声に女の子は顔を上げ、目を見開いた
「!あ、あなたはさっき…」
『隣、座ってもいい?』
頷いた彼女を見てそっとベンチに腰を下ろす
「あの…さっきはごめんなさい。ぶつかっちゃって…」
『ううん全然!こっちこそごめんね』
普通にいい子だな…。
でもさっきはどうして…
『あの、さっき…どうして泣いてたの?』
私が聞くと女の子はまた目に涙を浮かべて黙り込んだ
「…」
『私で良ければ相談乗るよ?』
そう言うと彼女は少し考えてから、口を開いた
「………です」
『え?』
「フラれたんです…。中学に入ってからずっと好きだった男の子に…毎日頑張ってアタックし続けて…今日思い切って告白したら」
- 俺は別にお前のこと好きじゃねーから。もう話しかけてくんなブスッ! -
- ッ!!-
『それで泣いて走って来ちゃったわけだ…』
「…はい」
何かそれって…
『私と一緒かも…相談乗れるか不安になってきた』
「え?あなたもフラれたんですか?」
『まあね…でも私の時は〈ブス〉というより〈死ね〉とか〈消えろ〉だったね』
「え!!そんなこと言われたんですか!?」
『まぁそれは照れ隠しだからいいの』
「はぁ…」
それに、と私は彼女の目を見てはっきりと言った
『一度好きになったらもう何言われても想いは変わらない…それが私の恋のルールだから!!』
そうやって今まで頑張ってきたんだ…。
「すごいなぁ。そんな風に私も考えれたらいいのに…」
『出来るよ!恋も勉強もスポーツも努力したもん勝ちなんだから!』
そう言って私が笑うと彼女も「そうですね」と言って笑った
『あ、そういえば名前言ってなかったね!私吉野桜、高校3年生。よろしくね!』
「本田鈴花です。中学3年です、よろしくお願いします」
お互いの自己紹介も済んだところで、私には1つ気になることがあった
『それにしてもさ…』
「はい?」
『ブスってのはちょっと酷いんじゃないの~ッ!?』
「吉野さ…ん?」