第8章 それぞれの片想い
その後、沖田が自転車で送ってくれたおかげで何とか時間に間に合った
『ふーよかった!ありがとう沖田!好き』
「死ね」
今日は色々幸せな体験が出来たからこんなことは気にしない!
「はい桜ちゃん、これが中学生に配るチラシだよ」
『お、重い…』
新八くんから受け取ったチラシは思ってた以上に量が多かった
『これ…全部配るの?』
「そうだよ」
終わる気しないよ…。
「貸せ…」
『えっ…』
持っていたチラシの半分を沖田に取られ唖然としていると沖田は少し拗ねたように言った
「仕方ねェから俺も手伝ってらやァ。今日中に終わらねェと志村に迷惑かかるからな」
『…沖田、ありがとう』
その後、沖田も手伝ってくれたおかげでたくさん配ることができた
そうして時間はあっという間に過ぎ、気づけば夜6時をまわっていた
「ちょっと残っちゃったけど大分配れたし、残りは帰りに配ればいいかな」
新八くんは言った
「じゃあもう遅いし、帰りましょうか。本当に今日はわざわざありがとう!」
『うん、お疲れ様!また明日ね』
新八くんと別れた後、携帯の画面を見つめる沖田に言った
『沖田!私、ちょっと寄るところあるから先に帰ってもいいよ!』
「…最初からそのつもりでィ」
素っ気なく言って去って行く沖田
『…沖田ァァァ!!ありがとォ!』
私は思いっきり叫んだ
『大好きッ!!』
沖田は振り返らず歩いて行って、私もすぐに沖田とは逆方向に歩き出した
だから沖田が顔を真っ赤にしてたことも
「ほんとイヤ…あの女」
そう呟いたことも私は知らなかった