第5章 自覚と苦悩
【沖田side】
そうか…今まで俺はこいつに対して鬱陶しいとかバカだとか色々言ってきたが、一番こいつに依存してたのは俺の方だったのかもしれねェ。
普段俺の前では明るくてバカみたいに笑ってる、そんなこいつに俺は不思議と心の中で安心していたんだ。
だからこうやって静かに眠る彼女を見ると…心に穴が開いて何かが抜けていく感じがした。
「…起きねェかな」
小さく呟いて吉野の手を握った
するとガチャッと音を立てて病室のドアが開いた
「!山本…」
俺は急いで握っていた手を離す
「桜ちゃんの様子を見に来たの…」
そう言って山本は俺の隣に腰掛ける
「大分酷いの?」
「一命は取り留めたが回復は…こいつが目覚めねェ限り何とも言えねェみたいでィ」
「そう…ごめんなさい私のせいで…」
「謝ることじゃねーよ。こいつァ…吉野はただ友達を護っただけでィ」
そう言って俺は目に涙を浮かべ下を向く彼女の頭を撫でた
すると山本は顔を真っ赤にして俺を見つめる
「…沖田…くん」
山本は俺の手を握り、顔をそっと近づけてきた
『うっ…』
次の瞬間、俺は微かな声を聞き逃さなかった
間違いねェ…吉野の声だ!
俺は山本の手を振り解き吉野の傍へ寄った
「吉野!!しっかりしろィ!」
俺は必死に彼女の名前を呼んだ。
だが彼女はとても苦しそうな顔をしている
「目覚めたのか!?」
そう言ってクラスの奴らが次々と病室に入ってきた
「桜ちゃーん、大丈夫か!?」
「吉野ーっ!!」
「オイてめーら騒ぐな!!」
病室で騒ぐ奴らに土方さんは言った
するとゆっくり吉野の目が開かれた
そのまま起き上がって辺りを見渡す
『ここは…?』
「病院でィ」
そう答えると俺を見た彼女と目が合った
『沖……田?』
「…」
次の瞬間吉野は目を大きく見開いて…
『沖田ァァァ会いたかったよー!!』
ガバッと俺に抱きついてきた
え………。
俺は頭が真っ白になった
これって………まさか…
「「戻ったァァァ!?」」
その場にいた全員が口を揃えて言った