第4章 嵐再び
【沖田side】
あまり期待はしてなかったがビーチの影にひっそりといる吉野の格好が俺の予想の倍的外れだった為、思わず吉野に言ってしまった
「おま…何で水着じゃなくてTシャツと半パンなんでィ」
俺がそう言うと吉野は申し訳なさそうに言った
『えっと…買ってない…から』
せっかく俺がリクエストしてやったってぇのに…。
あからさまな俺の不機嫌な態度を感じとったのか吉野は眉間に皺を寄せた
『だ、だって私泳げないし!どうせ海に入らないんだから水着なんて別に着る必要ないじゃん!』
こいつ…泳げねぇのか。
確かにこいつの言うことも間違ってはいねェけど…
「だからって…お前それでも女子かィ…?」
『よ、余計なお世話』
そう言ってそっぽを向く吉野
ほんと俺を好きだった吉野ならこういう時迷わず俺に水着姿見せにくるだろうな、と思わず自分で言ってて気持ち悪い想像をしてしまった
「期待した俺がバカだったぜィ…」
『…期待、してたの?』
瞬間吉野と目が合った
俺は何故か先程自分が言った言葉が恥ずかしくなり誤魔化す為、一番言ってはいけないことを言ってしまっていた
「消えろまな板女!」
当然ながらこの後俺は猛烈な吉野の平手打ちをくらうことになる
それから数分後、先程吉野に叩かれた頬を氷で冷しながらビーチの影に座っていると一人の女が話しかけてきた
「あの……大丈夫?沖田くん」
心配そうな顔で俺を覗きこんでくる…
あ、確か転校生の……そう山本だ。
「大丈夫でさァ、あいつの平手打ちはチャイナほどじゃねぇ」
俺がそう言うと山本は「そっか」と言って俺の隣に腰掛けた
「昨日ね、みんなと一緒に水着買いに行ったの」
「あー…そうでしたねィ」
山本は顔を真っ赤にして話す
「その…沖田くんが桜ちゃんに送ったメール見ちゃって…」
おいおいおい!
あいつ何他のやつに見してやがんでィ。
俺は顔が赤くなるのを必死に隠した
その様子を山本は不思議そうな顔で見てきた