第8章 女装編
「…ほら、付けなせェ。」
レジを終え、タグを切られたかんざしを
沖田隊長から渡される。
「あ、…ありがとう…ございます。」
なにか仕組んであるのではと思ったが
そういう訳でもないようだ。
皆の顔色を伺いながら付けると、
若干だが、隊長の顔が綻んだ。
「澪、似合ってるぞ。」
若も満足そうににこりと笑い、
俺の顔も綻んだ。
まぁ、いいか。妙さんも
ハサミしまってくれたし。
「…へへ、ありがとう。」
照れながらそう言うと、
パシャリとカメラのシャッターを切る音がする
音が鳴った方を見ると、隊長が俺に
携帯を構えていた。
「ぎゃっ!とっ撮られたっっ!!」
しまった、結局女装の証拠写真を
撮られてしまったじゃないか!!
一瞬でも心を許した俺が馬鹿だった………!!
「5万の借りはこれで
チャラにしてやりやさァ」
「嘘だろぉぉ……… 」
俺が崩れ落ちるのを他所に、
笑って、店を出ていった。
「………結構カワイイじゃねーですかィ。」
携帯画面に写る、笑顔の神崎を見て
沖田は人知れず呟いた。