第23章 初心編
「…………ついた。」
なんとかトラップを抜けて、
屋敷にたどり着く。
2、3回串刺しや生き埋めの餌食になりそうだったが
抜け出すことが出来た。
久しぶりに来た家はまったく変わってなくて、
天井には洗濯物を干すためだけの少しの光と、
隣に黒く塗れたように染まった屋敷が1つ。
本当に帰ってきたんだ。
「………………。」
屋敷の入口の扉には、
白骨化した死体が数体転がっている。
誰かに助けを呼ぼうとしたらしく、
手の骨が、外へと必死に手を伸ばしたままに
なっていた。
「………えっと…ちょっと退かせてもらいますね。」
俺はその白骨死体を少し退けて、
家の中に入った。
家はあの日のまま。
『神崎家暗殺実行日』
そのままだった。
その情景は、俺を昔の記憶へと誘った。