第21章 鬼兵隊編
(土方視点)
「そうか。澪の体はおろか……
…手がかりも無し、か。」
「…ああ。俺達の力が及ばず…申し訳ない。」
一方、柳生家では、俺達真選組による
操作報告が行われていた。
近藤さんが柳生の奴らに頭を下げる。
澪の足取りは未だ見つからない。
……この1ヶ月しらみ潰しに探したが、
ついには見つからなかった。
「……………。」
近藤さんの隣に座る総悟が
むすりと口を噤む。
………俺だって、認めたくねぇよ。
そう心の中で呟く中、
柳生九兵衛が俺達の言葉に身を乗り出す。
「……そんな、澪が
いないなんて……ッ、
そんなわけないじゃないか!!
本当に全部探したのか!?」
九兵衛の目は潤んでいて、
その目から今にも涙はこぼれそうだった。
……結局、九兵衛には澪の事を
何も伝えていないらしい。
あの山の麓は写真だけ撮って
あらかた片付けちまったから、
もうほとんど血の跡も残っていないから
九兵衛は未だ気づいていないようだ。
「九兵衛、落ち着きなさい。
…おぬしらが調べても
いないのならば、澪は
いないのだろう。」
柳生家元当主…敏木斎が首を振った。
「でも!おじい様!!」
敏木斎は真っ直ぐ前を見据えて、
九兵衛とは反対に、冷静だった。
…まるで、こうなる事が分かっていたように。
「若、落ち着いてください。」
東城が宥めるように言った。
「我々の隠密隊でも、
何も出来ませんでしたし…
この結果は予想できたでしょう。」
「隠密隊?」
俺がその言葉に眉をひそめる。
柳生家として、捜索は真選組に一任すると
輿矩から聞いていたため、
柳生家が独自で捜索をするとは
聞いていない。