第21章 鬼兵隊編
「何の薬だったの?」
「さっきの医者に貰った食後の薬に
決まってんだろ。」
「…………そのくらい、自分で飲めるもん。」
「怒んなよ。匿ってやってんだ。
減るもんじゃねぇし、いいだろ。」
晋助は俺が怒ってるのが
心底楽しいようで、ニヤニヤを絶やさず
俺の口から垂れた水を手で拭う。
その時、ふと、頭に浮かんだ質問を
晋助にぶつけた。
「晋助は……俺とキスしたかったの?」
それは、今までずっと不思議に
思っていた事だった。
昔の寺子屋にいた時から、
晋助は結構なキス魔で、
俺にことあるごとにキスを迫り、
よく銀時や小太郎に怒られていたのを
覚えている。
「……………………、ああ。」
晋助は、少し黙ってから、
返事をした。
先程の余裕の笑みは消え、
晋助の紫色の瞳が僕を写している。
何かを期待してるのだろうか。
「…………なんで?」
その期待を遮るように首を傾げた。
そういえば、晋助がキス魔の理由なんて
考えたこと無かった。
晋助はキス魔だからだって、
思ってたから。
でも、それは俺の勝手な推測で、
もしかしたら、違うのかな?
「…………ククッ…。」
晋助は俺の問いに答えるわけでもなく、
また笑った。
でも、目は全然笑ってない。
切なそうな、悲しそうな、眼。
「…だからテメェは餓鬼なんだ。」
そう言って、晋助は
俺にもう一度キスをした。