第20章 春雨編 (注:R18 本番なし)
ぎゃあぎゃあとお互いに叫び倒し、
2組はいつもの取っ組み合いを
始めてしまった。
今日は姉上がいないだけ、
近藤さんが無事なのが違うくらいで。
「御二方落ち着い………ゲフゥッ!」
「トシも総悟も一旦やめ………ガハッ!」
いや、結局東城さん共々
巻き込まれてしまっているのだから同じ事か。
「……あ、あのー。」
その時、後ろに真選組の隊士が声をかける。
「九兵衛さんが
澪さんに会った時の話がしたいと
言っているのですが………。」
すると、4人の目がぎらりと
隊士の方へ向く。
「あ、ちょうど良かったわー。
俺もアイツに話があったんだよ。」
「ちげェよ俺が先に予約してたんだから
俺達が先に決まってんだよ!
テメェは指吸って待ってろ。」
「えー予約ってなんですかー?
予約した証拠見せてくださーい
証拠が無いと信じませーん」
「旦那ァ証拠なんて後から
作ればいいんでィ
市民を騙せればそれでいいんでさァ。」
「うわぁ警察がスゴい事言ってる!
普通に証拠偽造しようとしてる!!
おまわりさーん!この人捕まえてー! 」
「銀ちゃんだってババアに
家賃払うって嘘ついてるネ。一緒アルヨ。」
「神楽ぁ、それは言わねぇ約束だろーが。」
「銀ちゃんワタシに酢昆布買うって言うけど
全然買ってくれないアル。
嘘つきネ。このドSコンチクショウと
同じくらい嫌な奴アル。」
「勘弁してくれェ俺は天パじゃねーやい。」
「ドSコンチクショウは否定しんのかい!!」
4人はギラギラ睨み合い、
お互いがお互いを罵倒しながら
九兵衛の部屋に向かっていく。
手を取り合うなど、夢のまた夢だ。
「………はぁ。近藤さん、東城さん。
僕ら先行ってますからね。」
どさくさに紛れ殴り倒された2人を置いて、
部屋に入る。
二人とも目的は一緒で
澪さんを助けたい気持ちは
共通している。
ただ、少し素直になれないだけなのだと
今の騒動に慣れつつある自分を嘲笑う。
「………澪さん、
早く見つかるといいけどな。」
空は気持ちいいくらいに晴天で、
1台の船が宇宙に向かって
飛び立っていくのが見えた。