第16章 ドライバー編(原作沿い)
「…フッ、澪。
局長就任おめでとう…。
これでますます犬小屋を
破壊できなくなった。」
「小太郎…。」
小太郎は嬉しそうに笑った。
こうやって見ると小太郎はただの旧友だ。
分かっていたけど、攘夷志士と真選組。
立場が違うだけで敵同士だなんて辛いものだ。
「でも、仮の局長だよ。
ゲーマー星人は今でも柳生家の
隠密に調べさせている。
局長達のドライバーの改造が解かれたら、
戻ってきてもらうつもり。」
「…そうか。」
俺が小太郎の縛り付けてある柱から
少し離れた場所に座る。
「…で、話って何?」
「…そのゲーマー星人の事だ。」
「………………。」
「先日、エリザベスからゲーマー星人が
江戸にいるという情報が入ったのだ。」
「え、江戸に!?」
「相手は天人だ。
何をして隠れているのかはわからぬが、
江戸にいることは確かだ。」
これは重要な情報だ。
今まで宇宙に飛び立っていたという仮定で
調査を進めていたけど、
江戸にいるのならば、きっとすぐに
見つけられるはずだ。
「……俺はドライバーとして
生きていく覚悟を決めたはずだった…。
しかし不思議なことに、その情報を聞いてから
どうしてもあのアホ面にドライバーを刺し
グリグリと捻り殺したくてたまらんのだ。」
捻り殺すって…凄い執念だな……。
「つまり、脱獄させて欲しいってこと?」
「ああ。澪は局長なのだろう?
責任はお前にいくだろうと思ってな。」
そんなことでわざわざ呼び出したのか…。
…律儀で真面目な小太郎らしいな。
「…脱獄は構わないよ。
ただ、条件がある。」
「なんだ?聞くだけ聞こう。」
「…馬鹿。言う事聞かないと…
知らないからね、俺。」
小太郎の耳元に寄る。
「条件は…………」
「ググッ…その条件…飲むしか、
ないようだな。」
「別に飲まなくてもいいよ。
ただ俺は条件の通り……」
「待て待て待て!!それ以上言うな!
分かった、わかったから!!!」
「とにかく、今のことを踏まえて、
脱獄するのはご自由にどうぞ。」
俺がそう言って小太郎の牢屋から出た。
ああ、外の光が眩しい。
「……さてと、隠密隊に連絡しなきゃな。」
俺は携帯を取り出した。