第15章 斉藤隊長編
(土方視点)
「…………ん?斉藤終…、報告書………!」
斉藤に神崎の調査を命じて数日。
自室に戻ると見慣れない書類が置いてあった。
『神崎澪内偵調査報告書』と
書かれている。
もしや、もう何かを掴んだのだろうか。
ほかの書類をどけて、
報告書を机に置いた。
さて、何が書かれているのか。
「失礼します、副長。
…あ、斉藤隊長からですか?」
そこに山崎が入ってくる。
「ああ。」
俺は軽く返事だけをして報告書を開いた。
何故かZばかりなのを読み飛ばしながら
パラパラとめくる。
「……………………。」
「…どうですか?澪は…
攘夷志士なんですか?」
「いや…こりゃあ、あれだ。」
「神崎と友達になったらしい。」
「ええええええええ!??
斉藤隊長に友達ィィイイイ!!!??」
「うるせぇよ」
山崎の声が部屋中に響く。
バレたらどうするつもりだ。
思い切り殴りつけてやった。
「…いてて……すみません。」
「………副長?お話中ですか?
…書類をもらいに来たのですが。」
「神崎!?、は、入れ。」
障子に人影が映る。神崎だ。
慌てて報告書をしまう。
神崎はいつもの通り俺のデスクを見渡す
何かに気付いている様子はない。
「この前の事件の報告書ってどこですか?」
「え?あ、あぁ…そこにある。」
「ありがとうございます。」
書類を受け取り、神崎は失礼しました、
と部屋を出ていく。
どうやら神崎は斉藤を仕向けたのが
内偵調査だと言う事を気付いていないらしい。
しかし斉藤でも何も掴めず
この通り神崎にたらしこまれていると
なるとやはり神崎は
内通していないのだろうか。
山崎が心配そうな顔をしている。
「副長…どうしますか…?」
「アイツでも何も掴めなかったのなら
アイツと神崎を信じるしかねぇな。」
俺は報告書を見えないように
書類の奥に突っ込み、
煙草に火をつけた。