第14章 真選組厠編(原作沿い)
「あ。またほら、名前呼び。」
「………なまえ?」
「狡いだろィ。あのチャイナ娘が
名前で呼びあって仲良くて、
なんで俺は『沖田隊長』なんだよ。」
「え?だって隊長は隊長だし…」
「ラブホ行った仲だろ?もうちょっと
仲良くしてくれても………」
「ちょ、ちょ、ちょっと待ってください!!」
沖田隊長のむすりと怒る顔は
とても可愛らしいのに、
その中身が最悪なので全く意をなしていない。
それを聞いた副長もギリギリと
歯ぎしりが聞こえる。
「…説明しろ。」
「え?説明いるんですかィ?
神崎ったらビショビショに濡れてたんで
ラブホで俺が暖めてやっただけでさァ。」
「その説明は語弊が生じますから!!」
「それからあーんなことやこーんなことも…」
「あーんなことやこーんなことだと…?」
「副長!誤解です!誤解!!!」
副長は眉間のシワが昨日よりも深くなり、
歯ぎしりは止まらずタバコを噛み潰す勢いだ。
「そーゆーわけで、
コイツは俺の部下にさせてもらいやす。
おい澪。明日から1番隊な。」
「えっ、お、沖田隊長?」
「沖田隊長じゃねーだろィ?
ちゃんと総悟って呼べ。隊長命令だ。」
「………そ、総悟…?」
「おー偉い偉い。澪はいい子だ。
よしよし。流石1番隊でさァ。
じゃ、失礼しやした。土方さん。」
俺の手を引っ張って部屋を
後にしようとする沖田隊長。
俺も引っぱられて立ち上がると、
思い切り反対の腕を引っ張られる。
「うわわっ」
思わず沖田隊長の手を離してふらつくと、
がしりと肩を掴まれた。
「待てよ神崎………。
洗いざらい吐け。」
「…………………ヒッ!」
副長の顔はこれ以上ないほど
鬼の顔をしていた。